MIYAGI Medical Woman's Association
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女性健康医療相談事業

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一人で悩まないで!
女性医師が女性の健康に関する悩みにお答えします。
女性健康医療相談(いずれも完全予約制・相談は無料)
あなたの抱える健康不安に女性医師が相談にのります。思春期や更年期に伴う 身体的・精神的不調、家庭や職場でのストレス等でお悩みのあなたへ、家族の病気、心配事・・・・なんでもお話下さい。

仙台市 女性医療相談

相談日時

第1、第3土曜日

相談場所

アエル28階 エル・ソーラ仙台内(青葉区中央1丁目3-1)
【地下鉄】(南北線・東西線) 仙台駅から徒歩4分
【JR】 仙台駅から徒歩2分
予約受付番号
TEL: 090-7075-2525(宮城県女医会事務局)
TEL: 090-7075-2525
(宮城県女医会事務局)
受付日時:月~金 9:00~17:00
(土・日曜日・祝祭日は除きます)
●相談は事前予約制です。
●対象者は、仙台市内にお住いの方またはお勤めもしくは通学されている方です。
●託児もあります。ご希望の方は、予約の際にお申し出ください。
※新型コロナウィルス感染症の影響により。中止することがありますので、その場合はご了承下さい。

宮城県 女性医療相談

宮城県女性相談に変わり、「ミニ健康講座(健康コラム)」を開始中です。

刊行のお知らせ

「宮城県女医会 女性健康・医療相談室10年のあゆみ」
平成26年7月12日刊行
表紙絵 会員 春山幸子作

ごあいさつ

宮城県女医会 鈴木カツ子

平成13年11 月、千葉県知事堂本暁子氏の「女性の健康・女性の医学」の市民公開講演会をきっかけに、翌、平成14 年4 月、宮城県女医会会員による「女性健康相談事業」が開始されました。この事業に先立ち、平成14 年2 月、第1回研修会が開催され、メンバーの精神科医、望月美知子先生からカウンセリング基本の「き」について講義を受けました。平成15 年、市民公開講演会で千葉県立東金病院副院長の天野恵子先生に「性差を考慮した女性の医療ってなんですか」の講演をいただき、性差医学・性差医療という学問の新鮮さに驚きを覚えました。小児科学が内科学より独立した時と同じ高揚感でした。

研修会はその後毎年2 月に開催され今年13 回を数えております。早い時期から宮城県、仙台市からも助成を受け、専門科を問わず、現在会員の50%が参画する事業に発展しております。

女性特有の病態生理を見逃さないよう留意しておりますが、年々相談内容が増えているのは家庭内の人間関係・トラブル、職場でのいじめなどにより引き起こされる体や心の不調、精神疾患の増加です。嫁姑問題、成果主義による夫のうつ病、リストラ、子どもの不登校、発達障害、虐待、DV、さらに職場でのハラスメント、労働格差など、女性を取り巻く環境は厳しく、健康を損ねる結果を招いております。ほとんどの相談者が30 分をオーバーして話してまいります。

相談事業を通して男女共同参画についても学びました。少子高齢化社会を迎へ、いま「仕事と家庭の両立」は女性の問題ではなく男性の問題として捉える必要があります。男性の家事・育児時間が長いほど出産後も継続して働く女性の割合が高く、第2子の出産意欲も高いようです。日本ではこの30年もの間、働く女性の約60%が出産を機に仕事を辞める傾向が改善されておりません。待機児童対策に加え、女性役員登用に積極的な企業の表彰、2%にも満たない男性の育休を促進するために雇用保険法の改正などを目指しておりますが、「夫は仕事、妻は育児、介護」という役割分担意識や長時間労働が当たり前という企業風土が改善されない限り、男性は企業戦士として働き続けなければなりません。男女の平等度を評価する世界経済フォーラム2013年報告によれば、日本は136 カ国のうち105 位で06 年の調査開始以来最低となりました。

この相談事業は歴代の宮城県女医会会長の故長池博子先生が地をならし、小田泰子先生が種を撒き、山本蒔子先生はじめ多くの会員が協力を惜しまず育ててまいりました。長い間実務を担当していただいております永井豊子先生、受付の保健師・福田すみ子さん他、事務方の皆さんにも深く感謝申し上げます。

女性が持てる力を十分に発揮し、心身ともに健康で豊な人生を送ることができますよう活動を続けてまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。

女性健康医療相談事業の始まり

宮城県女医会 山本 蒔子

井栄孝先生が日本医師会会長であった平成10年には、女性会員懇談会が作られ、女性医師の意見を聞いてもらえる場が開かれた。また、坪井会長は女性で米国医師会会長として活躍しているナンシー・ディッキー先生を招聘し、女性医師の啓発を考えられて10月31日に講演会が開かれた。「アメリカ医師会活動における女性医師会員の役割」がタイトルであった。

この中で、次の様なナンシー先生が経験されたエピソードを紹介された。

ある男性教授は胸が苦しいという患者について「患者が男性だったら、診断は胃潰瘍か心臓病だよ。女性だったらストレスだ。安定剤でも与えることだね。」これを初めて聞いた時はとても腹が立った。しかし、臨床を初めて、いつの間にかそのことを受け入れてしまっている自分に気づいた時の方が、ずっと不快感が増した。そうしないように努力していたのだが、同じ見方をしていたのである。男性と女性に対するケアが、男と女であるだけで異なるのは性差別である。

私は東北大学病院で臨床をしていて、米国のナンシー先生と全く同じような男性医師の言葉を聞いていて、しかもそれをそうだと思っていたのである。それが性差別であることにはじめて気づかされ衝撃を受けた。

その後、平成13年11月に千葉県知事 堂本暁子氏の「女性の医学 女性の健康」という講演会を宮城県女医会で開催した。この中で、女性の訴えをしっかり受け止めて聞き、女性の病気について内科、精神科、産婦人科および外科が連携しあって総合的に診断治療していく女性外来が紹介された。

この講演に触発されて、宮城県女医会として、女性の健康を守るために出来ることはないかを議論し、女性の健康相談事業を始めることになった。宮城県女医会としては研究助成事業に続く、新たな事業に取り組むことになったのである。

翌年の平成14年4月に事業を開始した。毎週土曜日の午後2時から、場所は仙台市医師会館を借りることが出来た。当初は会員のボランティアで事業を進めた。申し込みを受けるため携帯電話を購入し、これをその週担当する医師が保管した。相談者には氏名と電話番号を留守電に入れてもらい、その後、担当医が自から相談者に連絡し、面談時間を決めていた。会員が交替で担当し32名の会員が協力した。

女性医師であれば、今までの豊富な経験から対応できると考えて、科は問わず、すべての科の会員に担当していただいた。これが成功のカギになったと思う。担当する女性医師数をある程度確保しなければ、事業は成り立たないし、少数の担当者では、回数が増えて対応できなくなってしまう。また、科を限定した相談ならば、わざわざ相談室に来るよりは、医療機関を探した方が良いことになる。

平成14年の相談件数は35件であった。平成15年8月から、宮城県がこの事業の重要性を認めて、助成金の交付を受けられるようになった。これにより、相談者からの電話を受け取る窓口業務を外部の方に新たにお願い出来たため、相談事業が大変やり易くなった。担当していた会員も、受付業務の煩わしさから解放された。そして、件数は平成15年には62件に増えた。


女性健康相談室から見える女性の悩みは以下のようなことがあげられる。

受診しなければならない病気だろうか。
どの科にかかればいいのか分からない。
治療を受けているのに良くならない。複数の科に関係した病気や症状があるのに、全体として診療してもらえない。主治医との信頼関係が築けない。
家庭内問題の責任を女性がすべて引き受けてストレス大きい。家庭内の問題であるために相談する人がいない。
身体症状や産婦人科の疾患でも、表面にあらわれている症状だけの治療では効果がない。カウンセリングや精神科受診が必要ではないか。
女性の方が症状に気づきやすく悩むが、医師の方はその特性を理解できない。

女性健康相談室では、女性医師が30分程度の時間をかけてじっくり話を傾聴し、そして共感したうえで適切な対応をするので、相談者は満足するようである。必要であれば、専門家の女性医師への紹介も容易である。また、担当した女性医師も今まで気づかなかった患者の受け取り方を知るよい機会となり、よりよい患者理解につながることなどで勉強になっている。


女性健康相談室の意義は以下のようなことがあげられる。

医療機関にかかっても相談できない女性の悩みの解決の一助になっている。
医療機関において無視されている性差への配慮が出来る。
家族に精神疾患を持つ女性への支援が出来る。
女性は長寿であるため、配偶者の死に遭遇することが多いので、喪失への支援になる。

宮城県女医会は例会や研修会を通じて、性差医療を学習し、よりよい健康相談ができるようにさらに研鑽を積みたいと思っている。

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